インダストリー4.0について語る

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StrikoWestofen社の研究開発責任者は、鋳造業界におけるデジタル化ならびにインダストリー4.0に関する課題とチャンスについて語っています。

現在、いたるところでインダストリー4.0が話題となっています。それは、 物理的世界と仮想空間を結びつける段階にあり、第4の産業革命として賞賛されています。相互に接続された未来の工場はさらなる最適化のための新たな機会を提供し、生産のあらゆる段階でエネルギー消費と廃棄物を削減してくれるでしょう。これは、軽金属の鋳造所を含む全ての製造企業にとって様々な変化が待ち受けていることを意味しています。StrikoWestofen社で研究開発担当の責任者という立場にあるTheodoor van der Hoeven氏は機器メーカーの視点からデジタル化を推進しています。今回のインタビューで同氏は、鋳造所やサプライヤーにとってのインダストリー4.0の重要性について彼の考察を語りました。

Van der Hoeven博士、デジタル化やインダストリー4.0などはどういう意味なのでしょうか?また、それらは互いにどう関連しているのでしょうか?

デジタル化とは、今まさに社会全体で私達が見ている傾向で、スマートホーム、スマートシティ、スマートガバメントなども含まれます。そして、インダストリー4.0は「スマート産業」とも言えるでしょう。これはそれら2つの関係性を示しています。つまり、インダストリー4.0とは産業のデジタル化なのです。

そのデジタル化に関与している主なプロセスや事業区分としてはどのようなものがありますか?将来的に成功を収め、競争力を高めるうえで全く新しい事業戦略を立てる必要があるのでしょうか?

ここで簡単に一般論を述べることはできませんが、例えば、隙間産業をターゲットにしているいくらかの企業にとっては、インダストリー4.0に対応する必要は全くないかもしれません。しかし、厳しい競争環境で戦っている企業にとってインダストリー4.0は救いの神となる可能性があります。インダストリー4.0は、極めて柔軟に実施することができます。つまり、単一プロセスの調整から、事業全体の完全な変革に至るまで広範囲に活用できるのです。それがどのように実施されるかは、各自の捉え方やそれぞれの市場分野において採用を迫られている度合いによっても異なってきます。

あなたのお考えでは、デジタル化に後れを取らず対応していくうえで必要な主要素を5つ挙げるとするとどのようなものでしょうか?

まず、ビジョンとアイデアです。次に、デジタル化を戦略的重要管理項目として捉えること。第3に、従来のやり方からの転換を図るうえでこれまでに確立された作業の流れを断ち切ること。4つ目としては、従業員や取引先の積極的な取り組み姿勢、そして最後に、サプライヤーに依存しない独自の標準が必要となってきます。

デジタル企業や新興企業とのコラボレーションや提携は有益ですか?

もちろんです。デジタル化においては、自らの専門分野ではないIT関連の問題と常に対峙することになります。そうした技術を自分達の業界に活用させるためには、それを迅速に学び、必要な部分に展開させるなど、社外のノウハウを取り入れてその進展を加速させなければなりません。

こうしたデジタル化に伴う潜在的なリスクもしくは欠点は何ですか?

知っておくべきいくつかの側面があります。まず、投資利益率(ROI)を検討し分析することが重要です。デジタル化の世界では何でもできるように思われがちですが、明確なROIを押さえておかないと、新しい技術には思わぬ落とし穴があるものです。ですから、実施するうえでの投資対効果検討書が必要となってきます。

次に、セキュリティの問題があります。機器が外部に接続されるやいなや、より大きなリスクにさらされます。セキュリティのリスクに対応するには多くの方法がありますが、まだほとんどの方法はその有用性に制限があります。さらに厄介なことに、新たなセキュリティリスクが続々と発生し、それらに対処するため、ソフトウェアの適切なアップデートシステムを導入することが必要になってきます。このような手間はマシン制御システムにおいて一般にはありません。

三番目に、インダストリー4.0の考え方には、業界ネットワーク内での企業間の協力が含まれていますが、この種のネットワークでは、所有権の定義が曖昧になります。 例えば、クラウドに格納されたデータの所有者は誰で、そのデータを使用するうえで誰がどのような権利を持っているのか、といった具合です。こうした問題により、特定のテクノロジーの利用をためらう企業もでてきますが、その結果、成功の可能性も弱まります。

そして4番目として、こうした技術的可能性が一斉に実現すると、実際にオーバーロードとなってデータ群が失われるリスクもあります。通信を開始するマシンの台数が多ければ多いほど、より多くのデータが分析に使用されることになります。今後は、決定要因、つまりどのデータがどのような決定に繋がったのか、どの層が意思決定の最優先事項であるのかを理解することが重要になってきます。

そうした環境下において人はどんな役割を果たすのでしょうか?

人の介入なしにマシンが稼働するといった未来がくると思います。その場合、人間の役割は操作から監督や保守管理へ移行することになるでしょう。

鋳造業界では、デジタル化ならびにインダストリー4.0の面でどのように取り組んでいますか?

インダストリー4.0は、鋳造業界において始まったばかりですが、マシン同士のコミュニケーション(M2M)やVPNを介したリモートサービスなどの基礎的技術は既に使用されています。現在、これらの技術に関するお客様のお問い合わせが増え始めています。インダストリー4.0の可能性を完全に引き出すためには、サプライヤーとお客様側の両方でまだ克服すべき多くの課題が残っています。当社のような機器メーカーとしましては、適切な技術を開発し、必要な専門知識を蓄積しなければなりません。お客様側では、インダストリー4.0の期待値を現在のセキュリティ対策と比べたうえで評価する必要があります。鋳造業界においては、インダストリー4.0の技術を局所的な問題解決への活用から始めて、クラウドアプリケーションや鋳造工場とサプライヤー間の連携強化などに向けて拡大させるといった段階的な採用を私は期待しています。

この業界は、Google、Amazon、Uberのようなデジタル化のパイオニアから学ぶことができると思いますか?

それらの企業がどのように発展してきたのかを考察することは非常に興味深いです。 それらの企業は全て将来の展望を持つことから始め、全く新しい可能性を生み出して巨大化してきました。ただ、鋳造業界と直接的に比較することは困難です。というのも鋳造業はハードウェアを基盤とした事業展開を行っているのに対し、あなたが挙げた企業はサービスに焦点を当てているからです。これまで鋳造品の生産にのみ投資をしてきた企業にとって事業戦略の変更は容易ではありません。しかし、鋳造業界におけるサプライヤーは、そうした事業戦略の転換により利益の増大が見込めるでしょう。

将来的に、鋳造業界への新規参入、例えば他の業種からの参入も考えられるのでは?

鋳造関連での競合を考えると、最初に思い浮かぶのは添加剤の製造分野です。これは多くの潜在的なアプリケーションを備えた非常に興味深い技術であり、我々はそれに注意を払う必要があります。しかしながら、大量生産される鋳物に関して実際の競争相手となるには、処理時間および部品1個当たりのコストを改善するうえでまだ多くの課題が残されています。

異業種からの競争相手としては、デジタルデータ関連業界そのものから参入して来る可能性があります。インダストリー4.0の採用により、より多くのデータが生成され、共有されることになりますが、Googleの示すように、データは様々な方法で収益を生み出すのに使用できます。こうしたことから、究極的には、ITを核とした新たな競合相手が完全な工場制御システムを提供し、従来のサプライヤーが単なるハードウェアの供給者へと格下げになる可能性もあります。ただ、優れた制御システムの設計には工程に関する詳細な専門知識が要求されると私は確信しています。とはいえ、そうしたシナリオも想定したうえで、我々は市場へのアプローチを再考すべきだと思います。

将来の鋳造を4つのキーワードで表すとすると、どのようなものになるでしょうか?

「全自動」、「自己最適化」、「安全」、そして「クリーン」です。

StrikoWestofen社ではそれらに対してどのように準備していますか?

あらゆるStrikoWestofen社製品について、当社では現在および将来の開発ガイドラインとして用いられるビジョンを策定しました。これは、予期される技術的進歩とそれに関して検討された事業戦略に基づくもので、当社にとって未来への懸け橋しであり、可能な限り段階的な計画に分かれています。

これはお客様にとってどのようなものになりますか?StrikoWestofen社のお客様が楽しみにしているような新しい機能やサービスとはどのようなものでしょうか?

まだ多くの難題と取り組んでいる最中なので、あまり多くのことを公開したくありません。主に、工程の最適化とサービスの拡張に焦点を当てて開発が行われます。その開発活動の方向を示す例としては、StrikoMelter社とWestomat社とのリモートアクセス、ダイカスト機とのM2M通信によるWestomat社の閉ループマシン制御、そしてMESシステムとの連結により連続的な状態監視に使用できるWestomat社製診断システムなどが挙げられます。これらの例は全て現実のもので利用可能です。

人工知能(AI)はどのような役割を果たしますか?

鋳造でのアプリケーションに関しては、試行錯誤を重ねたマシン学習用AI技術を導入して、操作の最適化に展開されています。これは、最適化のためにもはや数式や表を用いて取り掛かるのではなく、学習アルゴリズムが、指定された顧客別パラメータのフレームワーク内で絶えず最適化の可能性を探します。ただ、溶融金属を扱う際には絶対的な安全性を確保しなければならないため、自律マシンに関して私は少し慎重です。機器が自律的というよりもむしろ、自己最適化するようになってくれることを私は期待しています。

合併してNoricanグループの傘下に入ったことは、インダストリー4.0に対するStrikoWestofen社の取り組み方にどのような影響を与えていますか?

インダストリー4.0はあらゆる産業のプロセスに適用でき、またその原則はそれらのプロセスとは独立しています。これは、Noricanグループ全体が、中央および地方の双方におけるインダストリー4.0の展開や経験から利益を得ることができることを意味しています。これにより、関連する全てのブランドの技術的な進歩が促進され、合併なしでは実現できなかった新しい技術への投資も可能になります。

AlexaやSiri&Coなどはあなたのご家庭にもう導入されていますか?

ある程度は。最も、職場での生活とバランスをとり、どこかで息抜きしなければならないので、私は自宅ではあまりテクノロジーを重視していません。しかし車中では、自動化システムと音声制御の熱狂的なファンです。また、私は自律走行車を心待ちにしています。それは私の自由時間を増やしながら、より快適な旅行を楽しめるようになるからです。そうなれば、私はおそらく毎日の通勤時に、座席でリラックスしながら、Siriが淹れてくれたコーヒーを飲んでいることでしょう。

StrikoWestofen社は、鋳造業界におけるデジタル化とインダストリー4.0を、ニュルンベルク(ドイツ)で開催されるEuroguss 2018での重要なテーマとしています。同展においてStrikoWestofen社の既存技術ならびに最新技術は7号館の小間番号714にて展示されます。

話し手について

Theodoor van der Hoeven博士は、2016年1月にStrikoWestofen社で研究開発部門の責任者に就任しました。それ以降、特に製品の開発および改善の分野におけるデジタル化の取り組みで陣頭指揮を執っています。Van der Hoeven氏は、燃焼とエネルギー技術に関して博士号を取得し、エンジンおよび流体動力マシンの開発に10年間従事しておられました。